02.Brother Complex!
    

休日。せっかくのオフを使って買い物に来ていたら、偶然目にしたのがあの鬱陶しい万事屋たちだった。
俺の側では七つほど年下の妹が、服やシュシュを見て、お兄ちゃんこれ見て!よくない?ねえよくない?なんて言ってついてくる。これだから女の兄妹は嫌だ。
俺にの服の趣味なんて分からないし、趣味に相手してやったといえば、誕生日に、総悟が置き忘れていった藁人形という名の人形をあげたことぐらいだろうか。

渡した瞬間のあの絶望的な目は忘れない)(はその日俺と一言も口を聞かなかった)

いや、まあ仕方なくその後にテディベアの大きいぬいぐるみをあげたけれど。







「ねえ兄ちゃ…だむすっ!
「そんなにひっついて歩くな。妹だと思われるだろ」
兄ちゃん…あたし妹







はしゅんとして俺のあとをついてくるが放って置く。ああ、イラつく。しかしこうでもしなければ、こいつは調子に乗って更にうるさく絡んでくる。面倒くさい。
すると、妹が騒がしいもんだから、向こうにいた万事屋たちが気付いたらしく、にやにやとニヤけながらこっちにやってきた。とてつもなく不愉快だ。







「あれれ〜?こーんなところで税金ドロボーに会うとは…。俺たちの金ぶん取って呑気にショッピングですか〜」
「なんだとコラ!大体好き好んで来てるわけじゃねえ!!」
「土方さんも来てたんですね。声ぐらいかけてくれればいいのに。…ってあれ?その子彼女…あ、いや、妹さんですか?」







声なんてかけるわけねえだろうが!と目の前の眼鏡を睨みながら思っていると、眼鏡がきょとんとしながら後ろに引っ付いている妹を見た。最悪だ。だから嫌だったのに。
つーかなんで彼女って言いかけてやめたんだコラ。俺にはそんなもん出来ねーとでも言いてえのか?ああ?…まあ、いい。それよりものことだ。
俺はため息を吐きながら何てことないような口調で返事をした。







「…いや、なんか知らねーけど、見知らずのガキがついてくんだよ」
ええええ?!!
ちょ、土方さん。彼女なんか驚いてるんですけど
「あ?アレだろ。お兄さんと間違えてたんじゃねーの?」
「…いやいや妹だろ。結構似てるもん。オイオイお兄さ〜ん。兄なんだからもうちょっと優しくしてやんなさいよ〜」
「うるせーんだよテメーは!!なんなんだよ。なんでポップコーンみたいな頭してんだよ。イラつくんだよ一々
なんだとコラァアア!!!お前みたいなペッタリ直毛に、天パの気持ちが分かるかァアア!!!」







やっぱりこいつは癇に障る。ぐわっとお互い胸倉をつかみ合っていると、眼鏡が落ち着いて下さい!と焦りながら止めに入る。それを見てチャイナ娘は、これだから男はヨ〜とかなんとか冷めた目をしながら呟く。お前年いくつ?
まあ知り合いはみんな優しくしてやれだのなんだの、文句を言うのはお決まりだ。だがコイツ等に言われるとなんだか癪だ。どう考えても妹に優しくしてやれなさそうなタイプだろう。特にこの銀髪は。
俺は、妹なんていたんだな、なんて話している万事屋に、お前はどうなんだと問えば、俺はひとりっこだからと首を振った。どうでもいいがそのニヤけ顔を止めろ。
まあ俺としてはひとりっこの方が良かったかもしれない。変な気を遣わなくていいし、第一女は面倒臭い。
ふう、とため息を吐くと、そんな俺をよそに、万事屋がと目線をあわせ、話しかける。







「お嬢さん。…いや、お姉さんか?名前、何て言うんだィ?」
「あ、です。土方
「へえ〜、兄貴と違って可愛いな」







万事屋がそう微笑んで言うと、照れてるのか知らないがは頬を赤くして恥ずかしがっている。お前は本当に俺の妹か?よく考えてから反応しやがれ。







「どう見てもお世辞だろーが。何照れてんだ、
「て、照れてないもん!馬鹿!マヨ!」
誰がマヨだコラ!テメーあんま調子乗ってんじゃねーぞオイ!」
「妹になんてこと言うんだよマヨ。だからお前はマヨなんだよ」
「うるせーよ!お前だっていつまでたっても糖尿じゃねーか」
まだ糖尿じゃありませんんん!!ギリギリセーフですぅ!」







どっちも変わらねーだろーが!そう思ったけれど、口に出すとまた喧嘩になりそうだからやめた。ああ、大人だな。俺。
タバコの煙を吐き出しながらそう思っていると、万事屋はまたをまじまじと見つめる。そして何を思ったのか、とんでもないことを口にした。







「いやー、でも本当かわいいなァオイ。いつまでもこんなマヨの妹ってのも嫌だろうから、俺の嫁になれば?」







えっと言って尚照れる妹を見て、なんだかイライラした。だけどそれを認めたくなくて、思いっきり万事屋の頬をつねってやる。
すると、やめてよお兄ちゃん!と服を力強く握るの目を見て、驚いて頬を離した。







「…フン、こんな妹どうにでも好きにすればいい」
「ちょ、兄ちゃん、急に何言って」
「だけどな、1つ言わせてもらう」







こほんとわざとらしく1つ咳払いして、俺は妹の腕を掴んだ。行き成りの行動にきょとんとしたは、俺と万事屋を交互に見る。あーもう。だから妹なんて嫌なんだ。またやってしまったじゃないか。







はまだ、兄離れできてねえからな」






(それにアレだ。は天パが大嫌いだ)(絶対嘘だろソレェエエ!!天パなめんなよコラ!!)
(…兄バカなんですね)(大体男はそんな感じアル)












20100508麦銀